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コーチングの極意が詰まった「1兆ドルコーチ」読書レビュー

2020年4月5日

シリコン・バレーで多くのテック起業家から尊敬と信頼、深い愛情を得てきた、伝説の名コーチ、ビル・キャンベルのビジネス書です。

ただの偉人伝と違うのは、これを書いた著者がビル自身と時代を共にし、その教えを直接受けた人たちによって編まれているところです。

正直、この本を読むまではビル・キャンベル氏のことは何も知らなかったのですが、読み進めていくうちに「ああ、なんて心が温かい人なんだろう」と感動してしまいました。

そのビジネス手腕はもちろん偉大です。

後に巨大企業になったアップルやグーグルの成功に大きな力を貸したのですから。

ただそれ以上に、キャンベル氏の生き様、人生観、何より「人への優しさ」の記述にすごく心を動かされました。

書籍の後半では少し涙ぐむときすらありました。

偉大なビジネスマンであり、最高のコーチであるビル・キャンベル氏。

その半生と人々に与えた影響についての著書をレビューしていきたいと思います。

ビル・キャンベル氏について

ビル・キャンベルについて知らない人がいるといけないので、まずは簡単な紹介をしておきましょう。

1940年生まれ。

元フットボールコーチ出身の実業家です。

高校時代から大学にかけてアメリカンフットボールの選手として活躍したキャンベル氏は、卒業後に大学フットボールチームのヘッドコーチとして名声を得ます。

さらにコーチ業からビジネス界に転身し、多くの有名企業でCEOを歴任、さらにアップルやグーグルの成功にも大きな役割を果たしています。

徹底的に黒子でいること徹したキャンベル氏だったので、ビジネス界(特にテック業界)意外で人々に知られることは少なかったのですが、グーグル元CEOのエリック・シュミット氏を中心にしたグーグル関係者によって書かれた「HOW GOOGLE WORKS」(2017年)の中で取り上げられたことが、一般に知られるようになったきっかけかもしれません。

キャンベル氏の特徴は「コーチングの絶妙さ」

激励と叱咤、限りない本物の愛情で多くのビジネス経営者や企業のチーム、組織に力を与えたと言われています。

アップルのスティーブ・ジョブスや、グーグルの創業者ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンらもその中に入っていて、2つの巨大企業の成功はキャンベル氏のコーチングの力に負うところが大きかったということ。

惜しくも2016年に亡くなりましたが、その死後に行われた葬儀では数多くのシリコンバレーの立役者たち(ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグら)が訪れ、その死を悼んだといいます。

キャンベル氏の人生を特徴づける「限りない愛情」を表すように、葬儀に訪れた(呼ばれた)のは企業のCEOや有名人だけでなく、氏と生前親しくしていたごく普通の人たちもいたということ。

彼らが職業の差なく、生前のキャンベル氏をしのぶようにお互い語り合う描写は、まさにビル・キャンベルという人が生粋の「人のコーチ」であり「人間好き」だったことが感じられて、一気に氏の人柄に引き込まれてしまいました。

序文から長くなりましたが、ここからいよいよレビューに移っていきます。

ビル・キャンベル氏の生前の偉業は門外漢の私には(テック業界関係者ではない)実感として分かりにくいものがありますが、その世界でキャンベル氏によって導かれ、前途を開いた、または救われた人々の話から、氏の残した「人をつなげる」「愛する」遺産をレビューという形でなぞっていくことで、遠く離れた日本の片隅でも氏の想いのわずかでも継承できればと思います。

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人を大切にすることで会社は成功する

キャンベル氏は並外れた「人への愛情」に満ちた人物だと著書では表現されています。

それも優しい愛情ではなく、むしろ厳しさの中に見せる「父親的な愛情」。

チームスポーツの世界で長年身を置いてきたキャンベル氏らしく、その表現は乱暴でスラングも乱発したらしいですが、それでも人々が彼に愛されて支持を受けてきたのは、キャンベル氏が「人を大切にしてきた」からです。

チームスポーツの監督だったときは、選手のプライベートはもちろん、家庭のことまで積極的に関与して、選手の家族からも深い信頼を勝ち得てきています。

ビジネス界に転身後もその姿勢は変わらず、常に部下のことを気にかけて、その才能を最大限に発揮するように働きかけてきたよようです。

以下は著書に書かれていた、キャンベル氏の信条です。

・どんな会社の成功を支えるのも人

・リーダーは部下が作る

・マネージャー(管理職)の一番大事な仕事は、部下が仕事で実力を発揮し、成長して発展できるように力を貸すこと

そのコーチ業の原点になった大学アメフト時代も「キャンベル氏は夜も眠れなくなるほどに選手がどうなったら良くなるかを考えていた」と、後に名選手になった教え子が答えていたのが印象的でした。

ビジネス界に転身して後もそれは変わらず、企業幹部に「夜も眠れなくなるほどに気にかけていることは?」と尋ねられると、決まって「部下の幸せと成功」と答えていたといます。

氏が本来持っていた「慈愛」の心が基礎になっていたのはもちろんのこと、その後のアメフト・ビジネス経験の中で「組織を成功させるためには、それを支える人間の能力を最大限に引き上げて使ってもらうことが大切」という結論に至るのは当然のことだったのでしょう。

だからこそ、多くの人の支持を得て、組織の成功をも導くことが出来た。

まさに「生まれながらのコーチ」なのだと思います。

コミュニケーションが会社にとって最も重要

コミュニケーションが会社の命運を握るということ。

それはミーティングであったり、普段の同僚との会話であったりと、様々な局面においてだといいます。

特にミーティングは、チームの意思疎通と決定をスムーズに行う作業であるため、キャンベル氏は独特の方法であることを行っていました。

それは「旅の報告」

ミーティングの議題に入る前に、必ず参加者がそれぞれ週末や休暇に行ってきた旅行の報告をするのが習わしになっていたそうです。

一見、業務とは関係ないことでも熱く語り、それについて皆で語り合う内に、仲間意識が出来上がり、チームの一体感が生まれるということ。

またお互いのプライベートを語るうちに共感力も生まれてきて、それが仕事上のやり取りにも絶大な効果を発揮するようになったということ。

これこそフットボールコーチだったキャンベル氏のキャンベル氏ゆえんたるところで、まさにチームスポーツの根幹ともいえる「仲間意識と結束力」を基にしたビジネスの進め方ともいえますね。

確かにこの方法は有効だと思いますが、個人的にはこれは欧米、とくにアメリカだからこその方法という気もします。

中でもとりわけテック業界の優秀な社員はその傾向がより強いため、エゴが強くて個人主義な傾向のある人たちの間に欠けている「協力し合う」部分を、キャンベル氏独特の手法でまとめあげていたということもあるでしょう(アメリカならではの人種や宗教、文化の違いを乗り越えるという意味でも)

逆に日本人はもともと共感力が強いですし、相手をおもんばかる文化なので、こうした手法をとらなくても自然と「一体感」は生成できていくような気がします。

とはいえ、キャンベル氏が在籍したのは、生き馬の目を抜くスピードと競争の激しいテック業界であり、そこでの手法を基に実際に多くの利益を会社にもたらしたとういうのは歴然たる事実なのです。

原則をもつこと

キャンベル氏がチームスピリットを大切にして人を導き、会社を発展させていった事実は重要です。

その根幹は「人を大切にすること」ですが、だからといってそれが「人を甘やかす」ことになっては本末転倒です。

企業を率いるものの至上命題は「会社の利益を上げること」です。

そのためにキャンベル氏は雇われ、または無報酬で(これは本当のようです)多くの企業内の相談役やコーチングを引き受けてきました。

その中で語られた記述の中で「部下の解雇」についての内容が印象的でした。

キャンベル氏は「天才」と呼ばれる社員の扱いについて独特の理念をもっています。

会社を発展させ、大きな利益をもたらす天才たちは、確かに会社にとって宝物のような存在ですが、だからといって何でも許されるということではありません。

・ウソをつく

・誠実さや倫理に欠けた行動をする

・同僚をいじめる

・エゴによってチームの士気低下をもたらす

以上のような行動に至った際には、場合によっては首もやむなしという決断を行う必要があるといいます。

基本的にはキャンベル氏は、天才には「寛容で、見守るべき」という態度をとっていたようですが、それが会社の利益に反するような(チームとしてのまとまりを乱すなど)レベルではあってはならないとしています。

会社にとって最も大切な物。それは「人」です。

そのまとまりがチームなのですから、その士気を崩すということは、会社全体の士気もさげるということにつながりかねません。

同時に「解雇する人間には敬意を払え」ともしています。

会社に貢献してきた人を首にする辛さはもちろん、彼らの多くが会社に残る人たちとまだ親しい関係にあるでしょう。

ひどい辞めさせ方をすると、そうした残りの人たちにも悪い影響が出ます。

ゆえにキャンベル氏は、

相応の敬意を払い、手当をはずみ、功績に感謝すること

を心がけろというのです。

敬意を払う。

これは大事ですよね。

解雇という衝撃の事実の前に、自尊心(経済的にも)をいたく傷つけられた社員にとってはささやかかもしれませんが、それを補うレベルの気持ちのケア・経済的ケアを行うのは、上にあるものとしてのマナーだと感じます。

私がこの章でもっとも気に入ったセリフを引用させてもらいます。

(部下の解雇について相談された経営者に対して)君は彼にこれ以上、仕事を続けさせることはできないが、自尊心を保たせることは間違いなくできる

創業者を愛すること(ビジョンを愛する)

チームリーダーとして部下への「愛」を説いてきたキャンベル氏は、同様に創業者にも深い愛を寄せていたといいます。

それは創業者のガッツと才能、そしてその原動力になっている「ビジョン」のためです。

企業経営とは現場の業務遂行・運営にエッセンスがあり、それに卓越したものが会社を成功に導きます。

ただそうしたエッセンスだけに目を向けるあまり、創業のビジョンを見失うことがあります。

経営だけを考えれば、外部からプロ経営者を迎えれば上手く回るのでしょうが、その過程で会社のビジョン(著書では「魂と心」と表現しています)が失われてしまうこともある。

創業者は自ら立ち上げた会社への愛はもちろん、そのコアな部分である「ビジョン」を存分にもっており、そういった部分をキャンベル氏は愛したといいます。

この「ビジョン」を私的に言い換えれば「なぜこの会社を作ったのか?」「この会社は世の中でどのような役割を果たせるのか?」という部分だと思います。

別の言い方でいえば「原点」

それを明確に意識しているからこそ、会社はぶれずに進むことができるのであり、問題が起きた時でも「原点」に立ち返ることで、置かれた状況を冷静に見渡すこともできる。それは個人の生活や人生でも同じことがいえると思います。

キャンべル氏はそうした創業者のビジョンを「会社の心と魂」と愛し、実際にアップルが傾きかけたときに、追放されていたスティーブ・ジョブスの要請で取締役に就任し、ともに協力し合いながら「アップルのビジョン」を基に様々な困難を克服したといいます。(アップルの原点は「卓越したプロダクトへの徹底したこだわり」)

このことは時代が変わって、たとえ創業者が変化の波に乗れなくなって会社に必要なくなったとしても、会社に有意義に関わらせ、助けを得ることが大切なのでしょう。

なぜなら彼らは会社の存在意義そのものだからです。

そしてそれはバランスシートや損益計算書には現れない、貴重な財産だと著書では強調しています。

人を助けること、親切にすること

著書では、キャンベル氏は「コミュニティ作り」に熱心だったと語っています。

身近な人間で行っていたスポーツの観戦ツアーを、自分の死後も続くよう基金を作ったり、スポーツバーを買い取って「誰でも参加できるオアシス」を作ったりと、プライベートでも人と人とのつながりを大切にしていたことが分かります。

その人間関係の根本は「人を助けること、親切にすること」

人と人とがつながれば、それがコミュニティになります。

それはシンプルに人間関係を潤滑にする要素であり、居心地の良い場所を提供できるだけでなく、会社でそれを行えば(コミュニティ化)、チームとしての一体感が生まれます。

同僚にも、近所の人や見ず知らずの人に行うような「親切」をしてあげること。

何か困っていることがあれば、一肌脱いであげること(業務上のことになるでしょうが)

社内コミュニティの育成です。

人と人とのつながり、信頼が大きな力を生み、それが会社の発展にもつながるという理念は分かるのですが、ただ人間好きなキャンベル氏のようなひとならまだしも、そうではない内向的な人間にはなかなか難しいことがある。

そんな人のために、著書では「エレベーターに乗った時」「廊下で誰かにすれ違った時」「カフェテリアで一緒になった時」に話しかけることを勧めています。

同じ会社といっても、見ず知らずの人もいるでしょうから、これはなかなか大変です。

しかしこれを繰り返すことで、次第に人間関係の構築に自信が持てるようになるとも言っているのです。

確かに街中でこれをしろと言われたらキツいですが、会社内ならなんとか可能かもしれませんね。

大切なのは「同僚と良い関係を保つこと」。

会社の発展は「人」にかかっていて、その基礎が各チームのまとまり「良好な人間関係」ということにつながるのだと思います。

そしてそれこそが、キャンベル氏が目指したチーム力のベースになるものではないでしょうか。

まとめ

著書を通じて、ビル・キャンベルというシリコンバレーの伝説の人について見てきました。

タイトルの「1兆ドルコーチ」は、キャンベル氏がそのキャリア(コーチング)の中で関わってきた企業が稼ぎ出した金額だと書かれています(たぶんに象徴の意味もあると思います)

著書の内容については、正直、日本人なら「それは普通のことじゃないか?」と思わせられるところも多々ありました。

社内での協調や人間関係の共感力など、意識していないうちに自然と行っているのが日本の文化なので、読み物としては納得するものの、実感としてはピンとこないところもありました。

ただこれはアメリカの話ですし、その中でも特に「個人主義」「能力重視」な人材が多いインターネット業界(テック業界)の中の話ということで、そのへんは差し引いてみる必要があると思います。

そうしたことを抜きにしても、ビル・キャンベル氏の生き様は尊敬に値しますし、その実践してきた方法は、あらゆる組織論に通用するとも思います。

組織といっても所詮は人と人とのつながりです。

人を大事にする、思うからこそ、人は動いてくれるし、前に進むことができる。

人間好きだったキャンべルだからこそ、その偉大な業績の中で成し得たことも多いでしょうが、その中の生き様のエッセンスのようなものを学ぶことができれば、きっと仕事だけでなく人生にも多くの恵みをもたらしてくれるでしょう。

以下は著書の終盤に掲載されていた、ビジネスリーダー(おそらくキャンベル氏の教えを受けた)の信じる5つの考えです。

①クリエイティブであること

十分な経験と自由を得た50歳からが、人生で最もクリエイティブな時期

②好事家にならないこと

何事も本気で取り組め

③バイタリティのある人と付き合うこと

若い人に多い

④才能を活かすこと

自分の得意なもの、目的をもって行えることを探そう

⑤将来のことを心配して時間をムダにしないこと

偶然を信じよう。人生の転機の多くは予想外の思いがけない形でやってくるのだから

特に5か条目が心に響いたので、あえて最後に取り上げさせてもらいました(少し表現は変えています)

今回のレビューではけっこう多くのことを書いてきたつもりですが、実際の著書の情報はもっと膨大です。

そしてそこにキャンベル氏の魅力も詰まっています。

ビジネスを志す人だけでなく、人生の指標として一読する価値のある本です。

どうか興味をもった方は、ぜひ一度手に取って読んでいただければと思います。

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