サブタイトルに魅かれて手にした「仮想通貨」本です。
その内容は「本質を知る者は勝ち、学ばざる者は去る」。
何でもそうですが、上っ面のテクニックとか知識だけを身につけても、その奥にある真理を掴めなければ、シチュエーションが変わってしまうとたちまち通用しなくなることが多いです。
勉強しかり、スポーツしかり、だいたいどの分野でもそれは共通しています。
本書に掲げられている「真理」はたちまち私の心を掴み、そのまま手にしてパラパラと中身をめくってみることにました。
すると、これがなかなか分かりやすい切り口と内容。
ちょっとでもこの世界を齧ったことのある人にとっては、恐らく「スーパービギナー」な内容だと思うのですが、それすらもない超初心者の私にとっては、すごく理解しやすいような流れでまとめられていましてね。
仮想通貨について知りたいなと思ってた矢先だったので、丁度良い機会だと思い、この本を入手することにしました。
本書に書かれているポイントをまとめつつ、内容のレビューをしていきたいと思います。
仮想通貨は「暗号通貨」だった!
序盤のタイトルにもなっていた、仮想通貨の名称に関する知識です。
仮想通貨というのは、日本だけで認識されている名称らしく、本来は「暗号通貨」と呼ぶそうです。
英語で言うと「cryptocurrency」が正式な名前で、この通貨の役割を端的に示している表現でもあります。
それは何かというと、
ということ。
日本ではメディアなどで仮想通貨という名称が取り上げられて有名になったため、そちらの名称で通るようになってしまったようですね。
*当記事では一般的な名称である「仮想通貨」で表記していきます。
仮想通貨は電子マネーとは違う?
ではその仮想通貨とは何か?ということです。
暗号とか仮想というくらいですから、素人的には「電子マネー」と同じじゃないの?という認識がありました。
nanakoやsuica、WAONカードやスマホで買い物するときもデジタル決済ですからね。
ただどれも元のお金は口座から引き落とされます。
その根本は「紙幣」「硬貨」に代表される現金ということ。
これを「法定通貨」と呼び、その価値を保証しているのが政府や中央銀行ということになります。
でも仮想通貨は違います。
仮想通貨は「使う人が皆で価値を保証している」システムで成り立っています。
本書では、それを分かりやすく例えるために「人生ゲームで使うお金と似ている」としています。
「人生ゲーム」とはボードゲームのことで、お正月とかクリスマスなどで家族や友人で盛り上がるあれです。
⇒お金の価値を知るのに最適な「人生ゲーム」は子供のプレゼントにおすすめ
ゲームでは誰かが「銀行役」となって、プレーヤーに必要なお金を分配したり、預かったりしますよね。
この銀行役を誰がやるかは特に決まったルールはなく、ゲームを行うそれぞれの人のやり方で取り扱っています。
人生ゲームのお金はもちろん「本物」ではないのですが、ゲーム上ではあくまで「このお金は本物だ」という設定のもと(承認)で進めていきます。
暗号理論では、この人生ゲームの「お金」と同じ論理で動いているというのです。
著者はこれを、
と述べています。
もちろん通貨はおもちゃを使ったゲームではないので、実際の「やりとり」や「承認」は複雑な暗号技術の仕組みの上で成り立っています。
まとめてみると、
・電子マネーは、法定通貨(お金)をデジタル化したもの
・仮想通貨は、特定の国家や銀行が保証しない暗号デジタル通貨
となるようです。
同じデジタル通貨なのですが、それをバックアップしている背景の違いということになりますね。
仮想通貨の技術的な仕組みとは?
大きく分けて4つあります。
「フィンテック」「ブロックチェーン」「P2P」「承認・マイニング」です。
ではそれぞれを本書の内容に沿って見ていきましょう。
フィンテック
一つ目の「フィンテック」とは、金融「Finance」(ファイナンス)と技術「Technology」(テクノロジー)を掛け合わせた造語です。
言葉の通りにIT技術を駆使した金融サービスや、それを取り扱う事業者のことを指します。
仮想通貨はその中の一つになり、直接的な技術というよりも、仮想通貨を成り立たせている情報金融技術の概念というべきではないかと思います。
ブロックチェーン
次に出てくるのが「ブロックチェーン」です。
こちらのほうが時々テレビにも出てくる用語なので、馴染はありますよね。
ブロックチェーンとは「取引データのかたまり(ブロック)を、一定時間ごとに承認し、それまでのデータとひとつなぎにつないでいく(チェーン)」技術のことだとしています。
先ほどにも述べたように、政府や中央銀行の信用の担保で成り立つ「法定通貨」と違って、「仮想通貨」は個々の利用者がその価値を共有して、行われる取引を承認することで成り立っている通貨だということです。
取引とは、具体的には「仮想通貨を使った買い物や投資、送金」などがあります。
これらの取引が「正常に行われた」ことを承認し、過去の取引データにつなげていく作業が「ブロックチェーン」です。
その結果つながれた膨大なデータは、一つのコンピュータで管理されるのではなく、世界中のコンピュータに同一のデータが格納されているということになります。(おそらく暗号通貨の利用者すべてのコンピュータ上で)
いわば参加者は誰でも平等にデータベースを共有できるということなのでしょうね。
P2P
次に「P2P」についてです。
Peer to Peerの省略語で、Peer(同格者)同士をつなげるコンピューターネットワークシステムになります。
通常のコンピューターネットワークは、個々のパソコンからサーバーを経由して他のパソコンとつながっていきます。
P2Pは、このサーバーを使わずに、パソコン(端末)同士を直接つないでいく方法になります。
その利点は、サーバーが介在しないことで、接続するユーザーは膨大になっても負荷が大きくならずに、コストを低く抑えることができるとされています。
スカイプやLINEなどがそれにあたるようで、だからどちらも無料なのかと納得しました。
仮想通貨もこのP2Pを活用しており、データの管理が一元的ではなくて済むことが、まさにこの通貨の特徴を体現しているなとも思いました。
承認・マイニング
最後に「承認・マイニング」です。
仮想通貨を取引で使う場合、一定の時間(ビットコインでは10分程度だとか)に一回、仮想通貨ごとに世界中の取引を確認して、その取引データ(ブロック)を結びつける作業のことです。
承認の概念自体は難しくないのですが、それを実際に行うとなると、それこそ膨大なデータが世界中に回っているため、承認作業が大変なものになります。
そこでこの「承認作業」を行うと「報酬」が得られるような仕組みができているということ。
報酬の中身は「該当の仮想通貨を一定量プレゼント」という形をとっているようです。
承認作業で報酬をもらうには、その承認が正しいかどうかの鍵を見つける計算をする必要があります。
その結果、計算のレースの最初の勝者にだけ与えられるということ。(2位以下は、1位の計算が合っているかどうかの検算に使われるため「報酬はゼロ」になる)
ただこの承認作業を行うには、性能の良いコンピュータが必要であったり、そのコンピュータの電気料が莫大なものになるとかで、個人で行うには難しいところがあるようですね。
続いて「マイニング」ですが、日本語の意味の「採掘」のとおりに、報酬目当てで計算することが「金やダイヤモンドを採掘する作業」に似ていることから名付けられたとしています。
このマイニングできる量は仮想通貨ごとに決まっています。
上限があることで、その仮想通貨の価値が維持される意味合いもあるようです。
暗号(仮想)通貨が便利な理由とは?
大事なポイントです。
本書が特に強調しているのは「送金が抜群に楽!」ということ。
口座間で送金をする場合は、金融機関に口座を持っていなければいけません。
日本人のほとんどは銀行や郵便局のどれかに持っており、その手数料も百円前後でしかありません。
送金の期間も当日中か、遅くても翌営業日には確実に届きます。
ただ海外では金融機関に口座を持っている人が日本と比べて格段に少なく、特に発展途上国の場合だとそれが顕著だそう。
アメリカでも東海岸から西海岸に送金すると、手数料(一回あたり数千円)や日数(3~5日)が日本国内とは比べ物にならないほどにかかってしまうのだそうです。
つまり日本は世界的に見ても、異常なほどに恵まれた銀行金融システムをもっているということ。
ゆえに、そうではない海外では、送金に手数料や日数がかからない仮想通貨を好むという流れになっているのです。
口座をもたなくてもスマホ一つで決済や送金が可能なので、その便利さは推して知るべしですよね。
以前にテレビのドキュメントで、中国に出稼ぎに来ている東南アジアの労働者が、故郷の街にいる家族にスマホで送金している姿を映していました。
そのときに使っていた通貨が仮想通貨でした。
貧しい田舎町出身の人たちだったので、金融機関の口座など持っていません。
それが先ほどの「口座をもたなくてもスマホ一つで決済や送金が可能」な仮想通貨ということだったのでしょうね。
仮想通貨とマネー戦略とは?
この章は本書でも核心的な部分になるので、あまり詳しくは書かないでおきます。
著者が主張するポイントにしぼって簡単に紹介していきましょう。
「学ぶ者はお金を得る、学ばない者はお金を得ない」
・お金は、お金について正しく勉強していたものの元に集まる⇒一度得た知識は生涯役に立つ
「必要性がある仮想通貨は普及していく」
・ビジネスでも投資でも必要のあるものは価値が認められる
「オーチャード戦略に仮想通貨を組み入れる」
・収益の方法を一つに頼らないこと
・多くの収益モデルの一つに仮想通貨を入れる
「ビジネスの王道をいく」
・販売する商品は複製可能なものを選ぶ⇒仕組みを作る
・売り手と買い手のニーズをずらさない
上にあげた内容はほんの一部で、ほかにも多くの理論が書かれていました。
「収益の方法を複数にして、その中に仮想通貨を組み入れる」ことが、自分には一番響きましたね。
仮想通貨を使った稼ぎ方とは?
この章も本書のコアな部分だと思います。
情報自体は多くのサイトや関連書籍で目にした内容ですが、より簡単に分かりやすく説明されていますね。
超初心者の自分にはすごく理解が進みました。
ポイントに絞った内容をまとめておきます。
【トレーディングで稼ぐ特徴】
・株やFXと同じ(仮想通貨を安い時に買う、高い時に売る)
・値動きが激しいので利益を上げやすい
【アービトラージで稼ぐ特徴】
・「せどり」「さや取り」のこと(取引価格の差異を利用して稼ぐ)
・仮想通貨の取引所ごとの交換レートの差異を利用する
【マイニングで稼ぐ特徴】
・仮想通貨のやり取りが正しく行われたことを確認する「承認作業」で報酬(仮想通貨)を得る
【新しく誕生する仮想通貨で稼ぐ特徴】
・取引所に未上場の仮想通貨を入手する
・偽物の仮想通貨を選ばない
・上場前のプレセール価格に注目する
・その通貨の必要性を吟味する
【周辺ビジネスで稼ぐ特徴】
・ウォレットの提供
・法定通貨(現金)と仮想通貨との交換サービス
・アフィリエイト(サービスの紹介で手数料・紹介料をもらう)
どれも素人には難易度が高そうな仮想通貨ビジネスですが、もしやるとするなら一番最後の「周辺ビジネス」が無難かなと思います。
利益を上げに行くなら「トレーディング」「未上場の仮想通貨の入手」になるでしょうかね?
いずれにせよ、勉強をしっかりしておかないと稼ぐのは厳しそうですな^^;
まとめ
超初心者の私が読んで「分かりやすかった!」と感じた書籍レビューを紹介させてもらいました。
仮想通貨についてはほとんど知識がない状態だったので、手引書としてはすごく丁寧で親切な内容だったと思います。
本書の最後に「仮想通貨は供給量が決まっている」と記しており、だからこそ、その価値が維持されるのだということ。
さらに「供給量が一定で必要性がある」という意味では「金(ゴッド)」と同じだということで、仮想通貨を理解しにくい人は「金」を基準にして考えると分かりやすいといえますね。
今はまだ普段の生活で見たり、使うこともありませんが、近い将来、電子マネーと同じような形で利用する日がくるのかもしれません。
その日が来るまで、コツコツと知識を吸収してその流れを追っていこうと思いますよ。
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